活用できる特許を生み出すためのヒント「競合排他 or ライセンス」

競合排他とライセンスのどちらを目指すのか。

 必ずしも、この考え方にすべてが当てはまるというわけではありませんが、一つの考え方を説明します。

 通常、自社で商品やサービスを提供して事業の売上や利益を得ることと、特許ライセンスをすることで得られる売上や利益の額を比較すると、自社事業の売上・利益の方が高いはずだと思います。
 万が一、ライセンスの方が、自分で事業を営むよりも収益が上がるというような収益構造になっていたら、その時はおそらく、自分で事業を行わず、ライセンスのみに注力すべきということになります。   
 この前提条件で、自社事業の方がライセンスより収益が大きいということであれば、すべて競合排他を行って他社の参入を阻止し、ライセンスなど行わずに自社での事業に専念する方が売上・利益が伸びるということになりますが、現実にはそう簡単ではないでしょう。

 自社製品が対象としているマーケットの大きさを考えたときに、自社のリソースですべてのマーケット需要を賄える能力があるような場合には、競合排他権を行使することで、マーケットの全体を独占することができるので、競合排他権を選ぶ方がいいでしょう。 

 一方で、マーケットがかなり大きくて、自社のリソースではすべてを賄えないよう場合には、競合排他権を行使してすべてを独占しようとしたとしても、自社のリソースが小さいため、その分の売上しか上げることができず、残りのマーケット需要があるにも関わらず、それに応えることができずにその部分を収益化するチャンスを逃してしまいます。
 そこで、その自社リソースが足りない部分を他社にライセンスして、他社のリソースを使って製品供給を行うことによってマーケットの需要を満たすこともでき、自社の事業売上に加え、ライセンス収益を上げることができます。

 マーケットの大きさと自社リソースの関係、これが競合排他戦略にするのか、ライセンス戦略にするのかを決める要因になります。実際の事業環境では、もっと複雑な要因などもあるため、一概にこの考え方が当てはまるとはいえないかと思いますが、大きな考え方としては納得性があるものだと言えるのではないでしょうか。