将棋とAI ③
<将棋AIの棋力の変遷>
今でこそ、プロ棋士ですら勝てなくなった将棋AIだが、私の幼少期は全く様相が異なっていた。私が小学生~中学生の頃(1980年代)の将棋ゲームは、本当に弱かった。言うなれば、将棋のルールを覚えた初心者が適当に手を選んで指しているという感じで、全く相手にならず、ゲームとしても全く面白くなかった。1990年代に入り、少しはそれらしい手を指す将棋ゲームも登場したが、アマチュア二段~三段レベルの自分の実力においては、まず負けることはなかった。その頃の将棋ゲームの開発は、そこそこ将棋に精通したプログラマが、自分の将棋勘にもとづき、形成判断や指し手選びのアルゴリズムをチューニングするという手法で行われていたようである。
しかし、2000年代に入って、機械学習を導入し、プロ棋士の膨大な過去の対局を読み込ませて、いわゆる教師あり学習を行わせたところ、格段に将棋ゲームの実力が上がったようだ。私も2000年を過ぎた頃の将棋ゲームとはいい勝負となったのも束の間、すぐに勝てなくなったように記憶している。その後、2010年代に入り、プロ棋士がそのプライドをかけて、AIと公開対局が行われたりするのだが、次第に、AIがプロ棋士をも凌駕していく状況が誰の目にも明らかになっていくのである。(参考URL:HEROZウェブサイト https://heroz.co.jp/service/)

※本コラムは2023年10月に執筆したものを掲載しています。